“Re:Recover; Don’t make angels dream of” from 20230211 to 20230312
Ritsuki Fujisaki Galleryでは、2023年2月11日(土)より3月12日(日)まで、弊ギャラリーでは2度目となる山本捷平による個展”Re: Recover; Don’t make angels dream of”を開催いたします。
Rise of Elegance and Brutality
山本捷平はこれまで絵画メディアにおいて、記号やイメージ、表象、歴史の反復など抽象的な概念をテーマに制作しておりましたが、今回より文化帝国主義や、美術史における戦後の日本文化史、自虐史観など、より社会的かつ具体的な営為をテーマに据え、初の彫刻作品を加えて展示を構成しております。
終戦からおよそ50年後の1994年に生まれ、日本で育った山本は戦争に対する当事者意識の失われた世代である。戦後の抑圧がより常態化、不可視化され、危機感自体が失われた状況で育った山本は、過去の現代美術におけるセンセーショナルな過剰化や、歴史を暴くようなアプローチに比して、当事者として生きている現代をストレートに表現することで過去の美術史へ応答を行なっているように伺え、それはより切迫した空気を示している。
超人化の象徴であるウルトラマンは、近代アメリカでのセックスシンボルであるデニムが歩んできた歴史の負の側面、カリフォルニア・ゴールドラッシュの際に起こったアメリカン・インディアンの虐殺、中国人排斥法を巻きつけられ、自縄自縛にも見える形で身動きが取れなくなっており、鬱屈とした気配を漂わせている。
ただただ頭陀袋を被され、空虚にウルトラマンのファイティングポーズを取り続けながら超人化を夢見るたくさんの国籍不詳の人形たちが無造作に転がっている床に対して、壁にはアメリカの現代美術において最重要と言える作家を参照した絵画群が配置される。
その対置は、現代美術という恣意性に依って延命され、歴史化される、スノッブな領域への山本の冷ややかな感覚を際立たせているように感じられる。
三島由紀夫が言った抑圧された嘗ての優雅さと残忍さについて、残忍さは、かつての歴史が忘却された現代だからこそ何もなかったかのように蘇るだろう(歴史は反復する)と山本は語っている。
自らを床に転がるウルトラマンになぞらえながら。